更新日 : 2024年06月07日
ある夏の夜、蒸し暑さのため眠れず、外に出たところ、野口境の東の稲荷様付近から青白い火の玉がスーッと上がったそうだ。
そのうち、その数がどんどん増えて、中央の赤い玉を囲むようにして行列をつくり、野口境の方から火の玉は廻田の方へ、廻田の方の火の玉の行列は野口境の方へ静かに移動した。ちょうど中間地点まで来たところで一緒になり、野口境の方へ移り、稲荷様の所あたりで、下に落ちて一斉に消えたそうだ。これは狐の嫁入りだったとのこと。
しかもその時、宴会帰りの多摩湖町のSという人が、自転車で通りかかったそうだ。
その人はその後、どこをどう通ったか、皆目分からず、あまつさえ、持参していた宴会のお土産(寿司)は、紐も解かれておらず、封も切られていないのに、中身は空になっていた。そして家にたどり着いたのは夜半過ぎであったとのこと。しかもこの人はほとんどお酒を飲めないのだ。これは狐に化かされたのだという。
狐に化かされると、馬糞がおはぎになり、ミミズがうどんとなり、尿はお酒になるのだそうだ。
「東村山の四方山話」より(東村山郷土研究会:平成16年発行)
たまろくめぐり
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