更新日 : 2023年02月24日
北秋津(所沢市)に住んでいた人が、「曼荼羅堂」の裏山でむじなの子を八匹と雌親を捕ってきて、仲間九人か十人で煮て食っただとよ。
そしたらむじなの雄が気がくるったようになって、不思議と食った者の家にだけ来てアタ(しかえし)した。家の中に入って飛び歩いて物を落っことしたり大変だったと。むじなを食った者の中には首根っこに食いつかれたり、食ったせいでもなかんでえけど、みんな死んじゃった。
この年は雨がちっとも降らず、井戸水も涸れるほどだったが、雨が降って、むじなを一番はじめに捕ってきた人は、「曼荼羅堂」の裏にある「おおうち穴」に水がたまっていんかと見に行ったらしい。
が、帰って来ねえ。上原(青葉町三丁目付近の旧字名)の人がたまたまその穴を覗いたら、新しい下駄が浮かんでいるから、誰か落ちてはしねえかと、ひっかき上げたら、その人があがった。村中「むじなにアタされた」と大騒ぎだった。けだものだって、かみさんと子供を殺されて食われちめえば悔しいや。仇討ちするよな。
こんな事があった後、奉公していた家のおかみさんと畑で仕事していたら、夜でもねえのにむじなが出てきた。おかみさんがむじなに「オレらはあにもしねえからアタすんないな」って握り飯くれた。それからは畑へ行くたびにちょいちょい出てきた。
あるおじさんはむじなの足を踏んじゃって、「すまねえな」って茶菓子に持っていった握り飯をくれたら、むじながくわえて、そばにあった神様の祠に入っていったそうだ。その穴ん中にいっぱいいたとよ。
「東村山の四方山話」より(東村山郷土研究会:平成16年発行)
たまろくめぐり
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